フォーラムご質問回答

こちらのページでは、第25回図書館総合展フォーラム『誰でも利用できるワシントンDC周辺の公文書館の魅力 ~米国在住リサーチャーが解説します!~』でいただきましたご質問の回答となります。

※個別の案件に関するご質問は直接連絡させていただいております。

 

【ご質問】

昨今の潮流ではデジタル化およびHP上でのアクセスを広める方向にあるものと理解しております。おそらくNARAでも同様と思いますが、どのような資料がどの程度デジタル化してあるかわかるようなページ、および実際に各種のデータを検索できるページがありましたら是非お教えください。

【回答】

 

1.どのような資料がどの程度デジタル化してあるかわかるようなページ

 

ぞれぞれの媒体資料毎にどれだけデジタル化が進んでいるかの直接的なものではありませんが、以下のURLが参考になるかと存じます。

映像資料の場合は、現時点でデジタル化されているのは、全体の8-10%と聞いております。

 

1) National Archives Tops 200 Million Digitized Pages in Online Catalog:

https://www.archives.gov/news/articles/catalog-200-million-digitized-pages#:~:text=Growth%20in%20Total%20Number%20of,than%20200%20million%20digitized%20pages.

 

2) FY 2024 ANNUAL PERFORMANCE PLAN and FY 2022 ANNUAL PERFORMANCE REPORT: https://www.archives.gov/files/about/plans-reports/performance-accountability/performance/par2024-2022.pdf

この5ページにデジタル化状況について触れられております。

 

3) Digitization at the National Archives:

https://www.archives.gov/digitization

NARAのデジタル化の基本情報となります。

 

 

2.実際に各種のデータを検索できるページ

 

以下のURLより検索が可能です。

 https://catalog.archives.gov/


【ご質問】

今回ご紹介くださいました図書館や公文書館には、様々な国外の貴重資料が所蔵されているとのことですが、どのようにして収集されているのでしょうか。

【回答】

 

それぞれの国の歴史の在り方によって異なってくるかと思いますので、一言でまとめて申し上げることができませんが、日本語関係資料に限って申し上げれば、まずは、以下のようなことが言えるかと思います。

 

1.米国国立公文書館(カレッジパーク新館)の家茂の国書

もともと当時の大統領宛に送られたもので、当時の段階で、大統領図書館なるものが存在していれば、そこに保管されるべきものであったと言えますが、当時はまだそうしたものはなかったので、米国にとって海外の首相や責任者からの国書や親書なるものは、まとめて保管されていたかと思います。米国国立公文書館本館ができた1934年以前までは、米国政府関係資料は、いろいろな部署の個別の建物にそれぞれ保管されてより、それらをすべて同じ場所で保管するということになったのは、1934年以後であり、その公文書館資料の整理過程やカレッジパークの公文書館新館も創設慣れて行く中で、保管資料を分けるといったことも出てきたかと思います。

 

2.米国議会図書館の1920-1930年代の日本の内務省が保管していた検閲対象本

1945年に日本が敗戦を迎えて、占領軍による接収対象となり、それが議会図書館に入りました。日本の戦中や戦前のフィルム資料などは、軍関係のものはカッレジパークの公文書館新館に、それ以外の商業的なものは、DCの議会図書館に分けられたと聞いています。また、江戸時代後期の、「蝦夷紀行」といった稀少本ですが、こうした古い稀少本が、議会図書館に存在理由は、いわゆる日本が開港してから、たくさんの外国人商人が日本にやってくるようになり、そうしたルートから学者の手にわたり、議会図書館へ寄付された場合もあったと思いますが、特に福島出身の朝河寛一は、ダートマス大学を卒業しイェール大学院を卒業してその大学で日本人初めての教授となった人物として知られていますが、彼が、日本のいろいろな古書を日本で買い、それを議会図書館に入れたという経過もありました。その話は、議会図書館のライブラリアンの方から伺いました。

 

3.海外の国の戦争から古書を守るといった役割

これは、かなり昔の話ですが、メリーランド大学のプランゲ文庫成立40周年というイベントの中で、プランゲ文庫や、米国にあるアジア資料といった内容の発表があり、その中で、日中戦争のさなか、日本の爆撃から、中国の図書館に保管されていた貴重な古書を守るために、米国の議会図書館に打診して、それらの古書を米国に送ったといったお話も聞いたことがあるのですが、そうした海外の国の戦争から古書を守るといった役割もしていたことは大きく印象に残っています。

 

4.ポーランド ワルシャワの博物館の例

これは上記と直接関係することではないかもしれませんが、私達は、以前ポーランドのワルシャワの博物館のご依頼をうけて特に写真や空中写真の調査及び収集をしたことがありました。自分達の国には、戦争の中で、歴史資料そのものが残っていないという前提であったかと思います。米国にある資料は、ポーランド語ではなく、あくまで米軍が収集したものですが、それでも、ポーランドに関するものがまとまってありましたので、そうした資料はとても貴重であるものだと思います。

 

それぞれの国の資料の在り方については、述べることができないのですが、少なくとも日本関連では以上のことが言えると思います。