タイタニック号(TITANIC)

日本でもよく知られているタイタニック号は、完成した当時は、世界最大の豪華客船として脚光を浴び、『絶対に沈まない船』とも言われていましたが、1912年4月15日に沈没してしまいました。当時、最も死者数の多い悲劇的な海難事故として100年以上経った今現在でも長く語り継がれています。

 

来月、タイタニック号沈没事故から106年目を迎えます。米国公文書館にある、タイタニック号の沈没事故に関連する資料の一部をご紹介します。

 

当時の新聞に『どのようにタイタニック号が沈んだか』という見出しで生存者の体験談が載せられていました。船が沈没し、救助船でニューヨークにたどり着いた際の生存者の方の証言を載せた新聞記事です。 

 

この記事には、その生存者が救命ボートから見た状況を語っており、どのようにタイタニック号が沈んでいき、船に残された人々の最期の時までも、楽器の演奏は続いていたが、同時に残された人々のうめき声や泣き声も聞こえたと証言してあります。また、大抵の子供と女性は助かったが、夫と離れるのを拒んだ人々は助からなかったとあります。

 

 

 

How the Titanic Sank: Story of the Survivor of the Greatest Sea Tragedy of the World as Told by Those Reaching New York; 809.1 Titanic Relief Fund; Central Decimal Files,1881-1892; Box 53, Records of the American National Red Cross Collection ANRC; National Archives at College Park, MD

 

 

“Photograph of a Lifeboat Carrying Titanic Survivors 5/14/1912” US District Courts for the Southern District of New York. In the Matter of the Petition of the Oceanic Steam Navigation Company, Limited, for Limitation of its Liability as owner of the steamship TITANIC Admiralty Case Files, 1790 – 1966, RG21, Records of District Courts of the United States, 1685 – 2009 ARC Identifier 278337: https://catalog.archives.gov/id/278337

 

上の写真はタイタニック沈没後に救命ボートに乗っている生存者を救助船カルパチア号から撮影したものです。救命ボートはタイタニック沈没後、3日から4日ほどかけてこの救助船までたどり着いたという事です。100年以上前の写真なのでピンボケをしているように見えますが、生存者の証言と合わせて見ると当時に引き戻されるような気分です。この写真の中の生存者達も新聞記事にあるような経験をしたことでしょう。米国公文書館の5階の写真資料のアーキビストによれば、この写真も含め、タイタニック号に関連する写真は主にニューヨークの公文書館で保管されているということです。

 

船員と乗客を合わせて2000人以上のうち、死者数は1500人以上を超え大惨事となったこの沈没事故の数日後から、米国と英国では、直接的な要因である氷山への衝突は避けられなかったのか、救命ボートの数は十分ではなかったのではないか、この船の所有者であたったホワイトスターライナー社(White Star Liner)には責任があったのかなどについて調査が行われました。

 

しかしながら、それらの調査では残念ながらこの会社側に責任があったという結論は出されませんでした。が、被害者への補償問題に関する裁判は行われていたようで、関係資料の中には、「直接かつ意図的な殺人」を行ったこのホワイトスターライナー社の航海免許を剥奪するべきであるといった事を強く主張する資料もありました。

 

 

 

 

 

 

Gentleman: RE, S.S. “Titanic” Disaster, Sunday, April 14 1912; Department of Justice Mail and Files Division File No. 16175 ; D.J. Central Files, straight Numerical Files 16137-161683 (Box 1391, Entry # A1-112B) RG60 Department of Justice, National Archives at College Park, MD

 

タイタニック号の所有者であるホワイトスターライナー社は、英国の企業であるため、米国公文書館ではあまり資料がないのかと思っていましたが、テキスト資料を含め、オンラインでもいくつかの資料が公開されていました。また、米国公文書館のサイトには職員が書いた記事も紹介されていますので最後にその情報も掲載しておきます。

 

They Said It Couldn’t Sink:  https://www.archives.gov/publications/prologue/2012/spring/titanic.html 

 

(MJ)