米軍で行なわれている技術的研究や開発というと、兵器や戦車、航空機などを思い浮かべますが、先日見た資料の中に私たちの周りのものも対象となっているのを見つけました。
そのうちのいくつかをご紹介したいと思います。
Device, Writing Night; Research and Development Status Report, September 1947; U.S. Natick Laboratories Office of the Comptroller Review and Analysis Division; Status and Progress Reports of Research and Development Projects 1944-74(Box 3, Entry# UD-6); Records of the United States Army Materiel Command, Record Group 544; National Archives at College Park, MD
このページの一番上のものですが、夜間に光を照らすことなしにメッセージが読めるようなものを書く道具の開発だそうです。そんなものが発明できるのか思ったのですが、既にいくつかの大学や研究所にコンタクトをして契約を取るようにしていたようです。
Behavior of Flies, Behavior of Mosquitoes ; Research and Development Status Report, September 1947; U.S. Natick Laboratories Office of the Comptroller Review and Analysis Division; Status and Progress Reports of Research and Development Projects 1944-74(Box 3, Entry# UD-6); Records of the United States Army Materiel Command, Record Group 544; National Archives at College Park, MD
これは「ハエと蚊の行動研究」というものです。それを知ることによって駆除や虫除けの良い方法を見つけることができるということです。現在市販されている虫除けや害虫駆除の商品もこういう研究を重ねた上で商品化されているのでしょう。
Knife, Fork, and Spoon, Nesting; Quarterly Technical Progress Report of Quartermaster Research and Development 30 Sep 1948; U.S. Natick Laboratories Office of the Comptroller Review and Analysis Division; Status and Progress Reports of Research and Development Projects 1944-74(Box 3, Entry# UD-6); Records of the United States Army Materiel Command, Record Group 544; National Archives at College Park, MD
フォーク、スプーン、ナイフといった食器類も色々考えられているようです。音が出ないようにして、軽量化をはかり、なおかつ汚れがつかないようなデザインを求めていたようです。資料の写真をよく見てみるとケースがナイフを兼ねていてスプーンとフォークがそこに収まるようになっています。工業デザインの分野のようです。
Individual Heating Devices For Clothing and Personal Equipage; Quarterly Technical Progress Report of Quartermaster Research and Development 30 Sep 1948; U.S. Natick Laboratories Office of the Comptroller Review and Analysis Division; Status and Progress Reports of Research and Development Projects 1944-74(Box 3, Entry# UD-6); Records of the United States Army Materiel Command, Record Group 544; National Archives at College Park, MD
このHandwarmerはカイロの原型ともいえます。今は使い捨てカイロがほとんどですが、1948年当時ではこういうものを使っていたのですね。これは金属の部分をこすると熱が発生して、一応温度調整もついているようです。
Flags, Durability, Improvement of; Quarterly Technical Progress Report of Quartermaster Research and Development 30 Sep 1948; U.S. Natick Laboratories Office of the Comptroller Review and Analysis Division; Status and Progress Reports of Research and Development Projects 1944-74(Box 3, Entry# UD-6); Records of the United States Army Materiel Command, Record Group 544; National Archives at College Park, MD
最後になりますが、これは旗の生地素材についてです。前までは旗の素材は100パーセントウールだったそうです。悪天候の際にはサイズの小さいコットン地のstorm flagというものに変えていたようです。ウール100パーセントからナイロン75パーセント、ウール25パーセントにすると従来のものより3倍から4倍長持ちし、また天候が急に悪くなってstorm flagに変える時間がない時も持ちこたえ、しかも洗濯もできるという優れた素材だそうです。
企業努力、という言葉は適切ではないかもしれませんが、軍の中でも色々な商品開発努力がされているのを知って何だか身近に感じました。また何か面白いものを見つけるのが楽しみです。(M.U)