米国では、地域によって多少異なりますが、DC周辺では、 9 月の第1 月曜日のLabor Day (労働者の日) の祝日の翌日から新学期が始まりました。10月はHalloween(ハロウィン)で子ども達が盛り上がり、11月はThanksgiving (感謝祭)の祝日があり、12月はChristmas (クリスマス)の祝日がありと、街全体が華やいだ雰囲気に包まれていくので、米国の秋から冬にかけては一番楽しみな季節となります。
さて今回は9月にちなんで、米国公文書館のサイトから、アメリカ合衆国憲法についてご紹介したいと思います。アメリカ合衆国の憲法は、1787年9月17日に作成され、翌年1788年に発効されました。現在おいても、アメリカの法律の基本となっています。日本では、太平洋戦争終結から約2年後の、1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念して、5月3日は憲法記念日となり、祝日の一つとなっています。しかしながら、米国では、憲法記念日は祝日ではありませんし、多くの米国人もそうした憲法が作成された日については知らないようです。米国人に聞くと、一番大事な記念日は、やはり7月4日の独立記念日だそうです。
Constitution of the United States; 9/17/1787; The Constitution of the United States, 9/17/1787 - 9/17/1787; General Records of the United States Government, Record Group 11; National Archives Building,Washington, DC. National Archives Identifier: 1667751 https://catalog.archives.gov/id/1667751
上記の資料は、
“We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defence, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.”
(われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保証し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらをわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここにアメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。)
という前文から始まる合衆国憲法です。
この前文のあとに、本文の7条(1. 議会、2. 大統領、3.司法、4.州と連邦政府、5.憲法の修正、6.最高法規としての憲法、7.憲法の批准)が続き、さらに1から27条までの修正条項が続きます。
Bill of Rights 1789; Enrolled Acts and Resolutions of Congress, 1789 - 2011; General Records of the United States Government, Record Group 11; National Archives Building,Washington, DC. National Archives Identifier: 1408042
https://catalog.archives.gov/id/1408042
上記の資料は、憲法の修正事項の最初の10カ条を権利章典として国民の基本的人権に関するものをまとめたものです。1789年に連邦議会から提案された修正事項は当初は12の修正条項がありましたが、1791年にそのうちの10カ条が批准されて憲法に追加された形となりました。
米国公文書館のサイトには、”Celebrating Constitution Day”というタイトルで、アメリカ合衆国憲法記念日として特集が組まれています。https://www.archives.gov/news/topics/constitution-day
また、関連して、”America’s Founding Documents” というタイトルで、アメリカ合衆国建国の基本理念である、合衆国独立宣言(Declaration of Independence)、合衆国憲法(Constitution) 、そして権利章典(Bill of Rights: 憲法の最初の修正十カ条条で人権保護規定であるもの)についてそれぞれの資料の画像と資料内容について掲載されています。https://www.archives.gov/founding-docs
さらには、米国公文書館の資料を教育現場で使ってほしいという目的で、“DocTeach”というサイトもあり、憲法をもっと生活に生かそうとする試みのサイトもあります。
Bring the Constitution to Life!: https://www.docsteach.org/topics/constitution
そこから憲法に関する言葉で検索をかけると、350の資料情報が出てきます。それらの中からいくつかをご紹介します。
National Archives Identifier: 24520428
Full Citation: Poster 220-BCP-18; The Bill of Rights and Beyond; 1991; Posters Collected by the Commission on the Bicentennial of the United States Constitution, 1986 - 1991; Records of Temporary Committees, Commissions, and Boards, Record Group 220; National Archives at College Park, College Park, MD. [Online Version, https://www.docsteach.org/documents/document/bill-of-rights-and-beyond September 14, 2017]
National Archives Identifier: 515119
Full Citation: One-Hundred Fiftieth Anniversary Of The Constitution; 1937; World War II Posters, 1942 - 1945; Records of the Office of Government Reports, Record Group 44. [Online Version, https://www.docsteach.org/documents/document/onehundred-fiftieth-anniversary-of-the-constitution September 14, 2017]
National Archives Identifier: 29915359
Full Citation: "We the People" Comic Created by the Louisiana State Sovereignty Commission; 1928-1980; LL 2-3 Court Decisions (segregation-integration) General, 1928 - 1980; Office Files, 1928 - 1980; Records of the Office of Education, Record Group 12; National Archives at College Park, MD. [Online Version, https://www.docsteach.org/documents/document/we-the-people-comic September 14, 2017]
またまだ、オンラインで見ることができる資料はたくさんありますが、少なくとも、アメリカ合衆国の基本理念をどのように守り、発展させていくのかについて、いろいろな資料を使い、また新たなものを作成しながら、絶えず考えていこうとする努力が米国公文書館のサイトからも垣間見れることはあらためて興味深いと思いました。(YN)