U.F.O

~Unidentified Flying Object ~

私が子供のころはUFO特集の番組などが流行っていて、よく家族で見ていた気がします。アメリカの「Xファイル(SFテレビドラマ)」が日本で放送されていた時も、食い入るように見ていました。日本では若干オカルト的に扱われることの多いUFOですが、UFO研究はプロ、アマチュア問わず様々な国で行われています。アメリカ政府によるUFO調査はとても有名な話ですね。2016年アメリカ政府機関CIAは約20年間に渡り独自に情報収集、調査分析してきた機密資料を一般に公開しました。これらのCIA元機密資料は現在オンライン(Project Blue Book Archives http://bluebookarchive.org/)で見ることができますが、デジタル化が間に合っておらず現在も作業が続いています。

 

今回はアメリカ国立公文書館でも閲覧することのできる資料の一部をご紹介します。

 

アメリカ政府による公式なUFO調査は1947~1969年の間に行われました。米空軍により発足されたUFO調査プログラム「プロジェクトブルーブック」は、当初UFOの存在を証明する充分な証拠がないなどの理由で、閉鎖、再開を繰り返しました。報告書によるとこの約20年間で目撃件数は12618件、その内701件は「未解決、説明不可能」とされています。

 

Photograph No. 179306; Record Group 342-B Box1; National Archives at College Park, College Park MD.

 

 

Photograph No. 179292; Record Group 342-B Box1; National Archives at College Park, College Park MD

 

Photograph No. 179270; Record Group 342-B Box1; National Archives at College Park, College Park MD.

 

1948年以降の目撃報告書には目撃者による証言に加え、米空軍及び大学などの研究機関による目撃者の心理分析や、彼らを知る周りの住民や家族などからの証言が多く残っていました。「彼(目撃者)は頭のおかしい人ではない」「信じられない物体を目撃した」「頭がおかしくなったと思われたくないからこれ以上は口外しない」などといった証言も記録されていて、目撃者と周囲の困惑した心情などを伺い知ることができます。

 

下の資料は、1949年アイダホ州で8機のUFOが目撃された時の証言情報です。

目撃者(パイロット)が飛行中、突如8機のUFOが出現しました。全機体のフォーメーションは乱れることなく完璧だったそうです。彼がUFOの飛行経路を通過した際、突然彼の飛行機のエンジンが大きな音を立て出したそうです。着陸後エンジンを点検したところ、その飛行機は新品だったにも関わらず、プラグはショートし焦げていたそうです。

 


Record of Investigations of Unidentified Flying Objects relating to the Office of Special Investigations; 1948-1968; Headquarters U.S. Air Force Department of Defense; Air Force Systems Command/ Foreign Technology Division; Project Blue Book Office, Record Group 341; National Archives at College Park, College Park, MD

 

どのケースも証言はとても似ています。目撃した場所、時間、方角、天候、気温や物体の形、色、動き、フォーメーションなどが記されていました。中には「UFOから人らしき物体が出てきた」という報告書も発見しました。

 

 

 

 

 

(一部訳)

「彼らの頭はプラスチック製のヘルメットのようなものと一体で、顔(もしそれが顔と呼べるなら)がはっきり見えました。彼らの色は青っぽく服は白色で、足が2本に腕が2本でした。歩行ではなく滑るように地上に降りてきました。そして彼らは私のトラクターまでやってきて、それをじっと眺めていました。その時見たのは、彼らには大きな目が1つしかなく、巨大な耳が2つ、そして身長は約2フィート(約60センチ)でとても筋肉質でした。」

Record of Investigations of Unidentified Flying Objects relating to the Office of Special Investigations; 1948-1968; Headquarters U.S. Air Force Department of Defense; Air Force Systems Command/ Foreign Technology Division; Project Blue Book Office, Record Group 341; National Archives at College Park, College Park, MD.

 

目撃情報の中には、説明可能な「IFO: Identified Flying Object(確認飛行物体)」も多くあり、凧や風船をはじめ、米空軍の夜間給油訓練だったり気温逆転により幻覚として見えた大気現象のひとつなどという解析結果もありました。

下の写真資料は大気現象により空中に現れたものが、偶然UFOらしき物体に見えることがあるという例の写真です。左上からレンズ雲、夜行雲、幻日現象、そして蜃気楼です。

 

Photograph No. 163708; Record Group 342-B Box1; National Archives at College Park, College Park MD

 

ただ一方でアメリカ政府が、民衆の混乱や不安、また軍に対する衆望の低下などを避けるため、意図的にUFO目撃情報の報告を減少させる必要があると記す資料もあり、アメリカ政府内でもUFO調査解析の続行に、賛成派と反対派があったことが伺い知れます。

 

現在アメリカ政府による公式なUFO調査は行われていませんが、実際のところは分かりません。また公開された公文書は、機密保持という理由から多くが黒く塗りつぶされている箇所もあり、まだまだ謎の多いテーマです。UFOは南アメリカ、アジア、ヨーロッパ諸国でも数多く目撃されており研究が進んでいるため、各国のUFO研究団体にとっても今回のCIAの機密文書公開により今まで解明されていなかった事実が解明される日が近いかもしれません。(S.F.)