1972年日本語印刷物

今回は米国国立公文書館の2階のテキスト資料の中から1972年の米軍による日本語印刷物をご紹介したいと思います。

 

これは在日米軍従業員のための雑誌「交流」の1972年6月号です。

 


“KORYU June 1972”; Organizational History Files, Psychological Operations Files, and General Records, 1971 – 1974(Entry UD-WW 63); Records of United States Army, Pacific, Record Group 550; National Archives at College Park, College Park, MD. 

 

「交流」は1957年の6月に創刊され、「在日米軍従業員とその家族に教養と娯楽を提供することを目的とする在日米軍の出版物」と目次のページに書かれてあります。左側が日本語のカラー冊子、右側が白黒の文字中心の英語の冊子で写真は日本語版と比べるとずいぶんと少なくなっています。この号の交流の表紙には日本とアメリカの国旗、そして守礼門の絵が描かれてあります。というのもこの年の5月15日に沖縄が日本へ返還され、この号からページ数も増え沖縄の米軍従業員にも配布されるようになりました。そのためか内容を見てみると、沖縄に関する記事も多いようです。雇用に関する内容を分かりやすく解説をしているページもあります。日本の米軍基地の特集、従業員の紹介や活躍ぶりの記事、アメリカについてのQ &A、日本の地方行事、世界の特集などの記事があります。何冊かこれらの雑誌に目を通してみますと、実に様々な分野で日本人が働いていたことがわかります。

 

下の雑誌は1972年1月号の「守礼の光」の日本語版と英語版です。

 


“SHUREI NO HIKARI   January 1972”; Organizational History Files, Psychological Operations Files, and General Records, 1971 – 1974 (Entry UD-WW 63); Records of United States Army, Pacific, Record Group 550; National Archives at College Park, College Park, MD. 

 

「守礼の光」は沖縄の人々に無料で配布された琉球列島米国高等弁務官府の出版物です。沖縄本島内の役所、軍施設、学校などにはトラック便で一括配布、個人や本島以外の場所には郵送で配布され、本土やハワイ、北米、南米、ヨーロッパにいる読者にも送られていたようです。公文書館に所蔵されていた資料の中には読者からの「守礼の光」編集部に宛てた1972年の年賀状や手紙、また本土に住む人から雑誌を送ってほしいという依頼文があり、当時毎月の雑誌を楽しみにしていた人が多かったのではないかと感じました。1959年1月より刊行された「守礼の光」は、沖縄本土返還の5月にこの特別号を最後に廃刊となりました。

 

 

 

 

 

 

 

“SHUREI NO HIKARI REVERSION ISUUE”; Organizational History Files, Psychological Operations Files, and General Records, 1971 – 1974(Entry UD-WW 63); Records of United States Army, Pacific, Record Group 550; National Archives at College Park, College Park, MD. 

1972年のカレンダーも所蔵されていましたのでご紹介したいと思います。

 

“1972 USFJ Calendar”; Organizational History Files, Psychological Operations Files, and General Records, 1971 – 1974 (Entry UD-WW 63); Records of United States Army, Pacific, Record Group 550; National Archives at College Park, College Park, MD. 


“1972 HICOM Calendar”; Organizational History Files, Psychological Operations Files, and General Records, 1971 – 1974 (Entry UD-WW 63); Records of United States Army, Pacific, Record Group 550; National Archives at College Park, College Park, MD. 


一見表紙はどちらも同じように見えるカレンダーですが、上側が在日米軍従業員のためのもので在日米軍のマークが入っており、下側が沖縄で配布された琉球列島高等弁務官府のマークがあるカレンダーです。沖縄本土返還を意識したものとなっていたようで、中身も月々に絵が描かれてあるのですが、上側のカレンダーには沖縄に関する絵、下側のカレンダーには日本の代表的な行事のお祭りの絵が描かれてあります。例えば1月では、上側は那覇市波之上宮の元旦の様子、下側は獅子舞の絵になっています。

 

1972年の雑誌なので40年以上も前の内容ですが、とても興味深く、カラー写真も載っていて当時の様子を知ることもでき、実際に読んでみて面白いと感じました。(NM)