戦後70周年を迎え、各地で戦争に関するイベントが開催されていることと思います。私たちが住んでいるアメリカの首都ワシントンDCでも、6月13日から8月16日までアメリカン大学美術館でヒロシマ・ナガサキ原爆展と原爆の図の展示会が開催されています。
(http://www.american.edu/cas/museum/gallery/2015/hiroshima-nagasaki.cfm)
アメリカン大学では20年前の1995年にも原爆展が開催されたことがあります。
ワシントンDCにはスミソニアン博物館という毎年多くの観光客も訪れる場所があります。1995年にそのスミソニアン博物館の一つである航空宇宙博物館で原爆展が予定されていたのですが、退役軍人たちの反対にあい、キャンセルとなった経緯があったようです。
原爆展でいただいたパンフレットと冊子
アメリカン大学美術館での展示会初日には、オープニングセレモニーが開かれ広島と長崎の生存者の方からの証言や写真の解説などのお話を聞くことができました。お二人の核兵器をなくしたいという思いは心に強く響き、遠く離れたここアメリカでこのような機会を持つことができ、とても貴重な経験をすることができました。
ヒロシマ・ナガサキ原爆展では、ロザリオ、瓦、溶けたガラス瓶、水筒、学生服などの展示や被爆直後の様子などのパネル写真があり人体に与えた影響など原爆がもたらした被害を改めて知ることができました。また、核兵器の現状や核兵器廃絶に向けての動きを知ることができ勉強になりました。
丸木依里・俊ご夫妻の「原爆の図」は火、幽霊などの6点が展示されていました。私はこれらの絵を見るのは初めてでした。かなり大きな絵で、原爆の悲惨さ、原爆直後の様子を描いており、人の命というものを訴えかけられているような気がしました。
展示会場には広島の子供たちの絵や書がありました。最初は最近の作品なのだろうと思ってみていましたが、よく見ると習字の作品は国という字が旧字体で書かれています。これらは1947年にオール・ソウルズ・ユニテリアン教会から広島の被爆地の学校などに学用品の援助があり、そのお礼として小学校の生徒たちが教会に送った作品です。48点の作品のうち24点が展示されていました。1947年と言えば被爆から2年後ですが、運動会やこいのぼりなどの絵が色鮮やに描かれていて、子供たちに希望と明かるさを感じ、そして、これらの作品のストーリーを知り心がとても温かくなりました。
以前、アメリカ人の原爆に対する認識の違いに驚いたことがあります。周りの人たちと話をしたときに、広島や長崎に原爆が落とされたことは知っていても、原爆の被害については知らない人が多いのではないかと感じました。このような展示会がアメリカで開催されたことはとても意義があると思いますし、原爆がもたらす被害について知ることは、核兵器廃絶への理解を深めるために大切なことだと思います。核の恐怖におびえない平和な世の中になることを切に願います。(NM)